今回は、医療者である私がweb3に可能性を感じて、web3メディア「web3探検隊」のco-founder(共同創設者)として活動している理由とweb3×医療・看護がもたらす変化についてご紹介していきたいと思います。
医療職は比較的、ITに疎いと言われています。
実際に、インターネットが普及し始めたと言われている1995年から30年近く経っていますが、一部の病院や診療所、施設などでは未だに「紙カルテ」を使用している場所もあります。
また、電子カルテであっても、操作間違いをして文字を全部消しちゃったときに「ctr(command)+Z」 で戻ることができることも知らない人が多いです(実際に、病棟でそのことを教えると何人からも拍手されました笑)。
これは一部の例ではありますが、他の職種に比べてITリテラシーは高くないことは窺えるでしょう。
そんな職種の出身ですが、web3がもたらす医療・看護の変化は良くも悪くも大きく変化すると感じております。
この記事を通して、少しでも医療者がweb3を身近に感じていただけると幸いです。
また、「web3ってそもそもなに?」ということに関しては別の記事が分かりやすいので、本記事ではそこまで深く触れないので御了承ください。
この記事はこんな人にオススメ
・web3ってよく聞くけど、医療にどんな関係があるの?
・看護への影響はあるの?
・web3時代の医療者の働きかたは?
Web3を知ったきっかけ
医療業界ではITに関する情報は日常の業務で触れることが少ないので、あまり入ってきません。
さらに拘束時間が長かったり、日常の業務で人命が関わる場面が多く、肉体的・精神的に疲れやすいなどの特徴もあり、空いた時間は基本的に体と心を休めるのに精一杯です。
医療も日々進化しており、人命が関わっていることもあり、医療・看護に関する勉強も必要になります。
私は看護師として内科病棟の勤務をしていました。私も例外ではなく、日々の業務をこなして現代医療についていくことが精一杯でした。
特に内科疾患では、生活習慣病(糖尿病や高血圧症など)を予防することが一番の治療であり、必要性の説明や習慣化の方法などを患者さんの生活に合わせて一緒に考えたりしていました。
患者さんの中には「そんな生活はできないよ。それなら早く死んだほうがマシ。」と言われます。
実際に、ほとんどの人が生活習慣病予防の必要性を感じていますが、生活習慣病に気をつけて実践している割合は64.1%ということが分かっています。(令和4年 農林水産省 生活習慣病の予防や改善に関する実践状況について)
半数近くの人が生活習慣病予防が大切と分かっていながら、実際にできていないということですね。理由として「忙しくて時間がない」「面倒くさい」などが挙げられます。
私自身も、患者さんのおっしゃることは非常によく分かるので「そうですよね。しかし・・・。」と必要性を説明することしかできませんでした。
しかし、実際に必要性が分かっただけで、運動を習慣化するのは非常に困難でしょう。
人の行動変容をどのように促していけばいいのか。
心理学や認知行動療法なども学習していたなか、STEPNというサービスを知りました。
STEPNは特定の靴で歩いたり走ったりすることで、レベルを上げたり仮想通貨を得るサービスがあることを知りました。
「歩く・走るで、お金がもらえて健康になる。」
これが私が最初に出会ったweb3のサービスでした。
Web3と医療・看護への応用について
Move to earn
私は、いわゆるMove to earnが実際にサービスとして稼働している現実を見て、衝撃を受けました。
今までは、どれだけ必要だと分かっていても、なかなか運動が継続できない人が非常に多く、このことから生活習慣病に繋がっていました。
しかし、運動することでお金がもらえるのであれば、少しでも運動するようになるでしょう。
本人の意志で行動変容ができることは、誰かに言われてやることよりも大きな抵抗がなく、継続的に実践できる可能性が高いです。
さらに、このX to earnのマーケットが成熟していけば、強制せずに他人の行動変容を促すことが実現可能になります。
つまり、運動などの「健康に必要だけど、面倒くさくてやりたがらないこと」への取り掛かりにお金がもらえるという、非常に分かりやすい本人のメリットが提示できるのです。
現状はまだ、システム自体の複雑さやマネタイズの面やアクティブユーザー数などから、一般的に普及するのは困難です。
しかし、ブロックチェーン技術が生み出すトークンの活用は、確実に私たちの生活に大きな影響を与えることが分かります。
これは、トークンの話だけではありません。
ブロックチェーン技術がより一般的になり、データは個人が所有する時代になれば、ブロックチェーン特有の「データの暗号化」「情報の改ざんが困難」「個人で取引データの記録・保存」から、個人で秘匿性の高い個人データの保有ができるようになります。
個人情報を個人が管理できることで、救急車で運ばれた患者さんが、どんな既往歴があって、なんの薬を内服しているのかなど、本来であれば受診歴のある病院に診療情報提供書や看護サマリーを依頼しなければ知り得ない情報も、その場で入手することができます。
そのため、救急車で運ばれたとしても、既往歴などの情報が分かるため患者さんの状態把握をより正確に素早くでき、治療もスムーズに行える・入院期間の短縮が図れるなどのメリットがあります。
メタバース
また、メタバースは医療とも相性が良いと言われています。
実際に、教科書だけではイメージがしにくい、体の臓器の場所や役割がVR上で勉強することができたり、医療処置のシミュレーションが、より実践に近い手技で行えるようにVRを活用するなど、医療の教育現場で既に活躍し始めています(MediVerse OCD,イマクリエイト株式会社)。
医療でもメタバースの導入進む、「メタバース戦略」を発表したドバイから。プライマリー・ヘルスケアに、フィットネスやメンタルヘルスまで
その他にもVRを活用した遠隔医療を提供している会社(Holoeyes株式会社)やVRを活用したリハビリのサポート(mediVR)があります。
今後はVRで受診のハードルを下げられるように、心療内科やメンタルヘルスケアクリニック受診などにも活用していく動きが見られています。
このことから、国内においても既にメタバースを積極的に活用し始めていることが分かりますね。
また海外の事例でも、アメリカなどの先進国だけでなく、インドでも主要病院が仮想空間上の土地(Decentraland)を購入し、VR上で医療を展開していくなど、メタバース×医療が実際に全世界で活用され始めていることが分かります。(The medical AI times)
医療職の働き方の変化
今までもインターネットやスマートフォンの普及によって、医療現場でも電子カルテ導入をはじめ、医療DXは始まっていました。
しかし、実際には医療職者自身がうまく活用できているのはほんの一部でしょう。
これからweb3の波が来ることで、さらにその差は開いていってしまいます。
「ITに使われる医療職になるのか、ITを使う医療職になるのか」
この差が、今後さらに日本の医療の質を左右する要因になってくると考えます。
しかしながら、ITを使う医療職が増えることができれば、より少ない人数でより高度な医療を提供できる可能性があるのです。
これは、労働人口は減少の一途を辿っている医療現場において、重要な課題解決に繋がっていると考えます。
医療者「だから」ITに弱いのではなく医療者「こそ」ITに強くなることが、今後の医療と医療における働き方の課題などを解決する一助であると考えます。
そして、web3の波はそれを顕著に表していると感じたため、私自身、web3と医療・看護を結び付けていけるように発信していきたいと思っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
web3がもたらす医療・看護への影響はとても大きいです。
これらを理解して使いこなせるようになることが、現在の医療課題解決にも繋がっていくと考えています。
医療職とweb3は、一見縁遠いように感じるかもしれませんが、医療者こそが重要性を感じて力を入れていくべき分野だと思います。
この記事で、少しでもweb3×医療・看護を身近に感じていただけると幸いです。